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プロローグ

2019年4月22日

 

一番恩返しをしなければならないはずだった祖父が他界した

私が一年間カナダに滞在している間、

渡航前は元気だった祖父にステージ4の肺癌が見つかった

祖父の願いで家族はその事実を私には伝えずにいました

 

祖父の誕生日は、1月25日

初めて2019年の誕生日当日に祝いそびれてしまいました

なんとなくずっとそれが引っかかっていた矢先、

父から連絡がきて事実を知った

しかし帰ってくるなと

 

それから二・三週間後、

この数日が山だという時に連絡が入り急遽一時帰国をした

 

どんなに呼んでも泣き喚いても手を握っても目を覚さない

看護師さんのおかげで漸く目を覚まし

私が日本にいることに驚いたのか

目を大きく開けて私を見て大きく一度だけ頷きました

手で瞼を下ろしてあげた

 

私を見てくれたのはそれが最後

その二日後に他界しました

 

葬儀までの間ずっと傍にいた

 

身体がどんどん冷たく固くなる

 

生きていたら触れられない瞼や鼻筋や耳を触れられたことは嬉しかった

 

 

星は死ぬと、爆発してバラバラになります

そのかけらが新しい星の種となります

祖父のこの世界での終わりを

私の新たな世界の始まりに重ねることにします

旅立ちの美しさも知った

の果ての地を" y vet "と名付け、

命ある限りこの身体を通して知った確かな美を追求する旅を記録する

その旅路に確かにあるのは光と闇の点

その点を繋いでゆく

祖父は私の中では永遠に生きている

この機会を与えてくれた祖父に感謝をし

自分の手先を通して少しずつ恩返しをしてゆきます

 

その物語の第一章からイメージした装飾品を展示します

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